
12月18日に一般公開されたガイドラインですが、これまではこの種の情報は、基本的には非公開とされていました。今回初めて編集されていない状態でのものが公開されたということで、WEB業界では話題になっているようです。
結論から書きますと、多くの方が興味を持っているこのガイドライン、深堀りして読んでいくと「デッドエンド」な部分に突き当たってしまいました。そこに本当の「キモ」となる評価基準が記載されているようです。
以前はロボットのみによる機械的なアルゴリズムで「コンテンツの品質の評価」が行われていましたが、現在は数万人ともいわれる社外の評価者による目視確認が行われています。基本的にはこの評価ガイドラインを基準として「コンテンツの良し悪し」が決定されるようですが、実際にこの「設定基準」だけで判断できる情報が網羅されているのでしょうか?
このGoogle社内用資料に全て目を通してみましたが、結論から言うと「通り一遍な内容」にしか触れられていないようなものに見えました。現時点ではこのガイドラインの日本語バージョンは存在しませんので、コンテンツの品質に関する部分についての記載部分を一部紹介しながら検証してみましょう。
◆目次
ガイドラインの中でGoogleが重要視するE-A-Tとは?
本文の中に何度も「E-A-T」という言葉が出てきますが、これは、
Expertise | 専門知識 |
Authoritativeness | 権威 |
Trustworthiness | 信頼性 |
これらの三つの言葉の頭文字をとったものです。サイトやブログにかかわらず、これらの三つのポイントを満たしているMC(メインコンテンツ)であれば高い評価をすると書かれています。
WEB業界の方であれば「知っていて当たり前」なレベルの情報でしょう。このガイドラインだけで、はたして「高い評価を受ける」サイト制作の判断基準マニュアル的な内容は盛り込まれているのでしょうか?
*本文中のその他の略語
MC:メインコンテンツ
PR: Page Rating(ページの評価)
PQ: Page Quality(ページの質)
内容抜粋:ガイドライン4-1「質の高いページの特徴」
ここでは質の高いページの特徴が述べられています。このような内容が記載されています。
「ハイクオリティーと評価されるには?高品質の評価では少なくとも次にあげる特徴のうちの一つを満たしている必要があります。
・メインコンテンツに質の高いコンテンツが多く含まれていること
・ページやサイトの内容の信頼性(専門的でしっかりとした裏付けが取れている)・ページに書かれているトッピクに対して外部の高い評価を受けている
それに加えて、子ページやサイトそのものが次の条件を満たしている必要があります。
・サイトそのものにしっかりとした情報が記載されていること(例えば会社概要や問い合わせ先、カスタマサービスの連絡先など)
・ユーザーが満足を得られるようなページやサイトであること
・サイトデザインがユーザーにとって使いやすく、求める情報を見つけやすくなっている
・サイトそのものが常にケアされた状態で保たれている」
このように「質の高いコンテンツ」の条件として挙げられているものは、だれもがすでに知っているような内容のものです。現実的に評価者が目視確認の際に、このような内容のガイドラインだけでサイトの評価をしているとは考えにくいと思えます。これだけでアルゴリズムが想定どおりに機能しているのかを判断する本当の基準になるのか?という疑問が残ります。
内容抜粋:ガイドライン6.0~7.0「質の低いページの特徴」
今度は逆に、「ロークオリティー」に関する部分の内容を見てみましょう。このように、目次の一覧を見ただけで、おおよその内容は理解できます。
6.0 ロークオリティーなページ
6.1 質の低い面メインコンテンツ
6.2 コンテンツ内のボリューム不足
6.3 E-A-T専門的な裏付けのない切り口
6.4 サイトそのものの低評価
6.5 質が低いと判断されるような内容
さらに目次7では「さらに質の落ちる」コンテンツの特徴が記載されています。例えば
7.5 サイトに関する情報が書かれていない
など一般的には「読む必要のない」レベルのコンテンツの説明です。
内容抜粋:ガイドライン10.0「Wikiなどの辞書的なタイプのページ評価」

この目次10.0では特定のページやサイトでの評価基準が書かれています。このような内容です。
Googleでは高評価も2段階に分かれているようです。
1.高評価 | High quality |
2.最高評価 | Highest quality |
「エンサイクロペディア【encyclopedia】(辞典タイプ)スタイルのサイトが存在します。質の良いサイトもあれば、事実の裏付けが取れていないような、書き込みにより作成されたコンテンツもあります。ほとんどの場合我々(Google)は作成者の特定もできませんので、結果として外部ユーザーの評価の声に頼るしかありません。
サイトそのもののrating(評価付け)に関して、Wikipediaは避けることのできないページです。全般的にはそれなりの評価を受けています。非常に有名なソースであり、内容の精度についても比較的信頼のできるものもあります。
その半面記載されている記事の信ぴょう性を確約する、著者名や企業の記載は一切ありません。したがってWikipediaに関して言えば、ページごと(テーマごと)に客観的に評価せざるをえません。
■評価が高いWikipediaページの基準
・情報量が多く、詳細な記載のあるMC(メインコンテンツ)
・外部ソースがしっかりと表記されている
■最高評価の対象となりうるWikipediaページ
一部のページでは最高評価を得ることも考えられます。・専門知識に裏付けられた内容のもの
ただし医療系や金融系、あるいは法律系の記事では「最高評価」とするのは難しくなります。このジャンルの情報に関しては高いレベルのソースであることを証明しなければならないからです。
結論としてWikipediaは、しっかりとしたコンテンツに支えられたものであれば「高評価」のレーティングを得られるかもしれませんが、一般的にはMedium(中軽度の評価)となる場合がほとんどです。もちろんコンテンツの内容が薄いものに関してはより低い評価となるのは当然です。」
内容抜粋:ガイドライン5.4「高い評価のページ」のサンプルで見つけた部外者には見せない部分
このガイドラインを読んでいくと、さまざまなタイプのサイトごとの評価の基準が記載されています。た
だこの表の中に書かれていることは極めて「一般的な」情報の部分だけです。ハイパーリンクになってい
る矢印部分をクリックすると、そこから先は部外者には閲覧できないようになっているようです。
結局見せてもいい部分だけを公表したGoogleガイドラインだった
最後まで目を通してみて分かったことは、目視確認をしている外部評価者が基準とすべき指標などは一切、一般には公開していなかったということです。もちろん相当ボリュームのあるガイドラインですので、WEB業界の人間であれば一度目は通しておいても、いいでしょう。
現時点でのGoogleのコンテンツに対する基本的な姿勢や取り組み方は理解することができます。
これまで一切、公にすることもなかったガイドラインを公表したことに意味があるのかもしれません。日本語バージョンが公開されることはないと思いますが、今後もさらにいろいろな情報を共有してくるかもしれません。